2014年9月9日火曜日

A Film About Making Music「What Difference Does It Make?」

「RED BULL」は、世界的なエナジードリンクメーカーで、戦略的に現代のアートやスポーツをアシストしています。

音楽へのアシストも非常に強く、現代のミュージシャンにとって有益なコンテンツを定期的に配信しています。
http://www.redbullmusicacademy.jp/jp/home/

今回はその中からアーティストにとって音楽を作るというのはどういう行為なのかを聞いてドキュメンタリーにした「What Difference Does It Make?」」を紹介します。
http://youtu.be/HUUa-KNyqKk?t=55m3s

まず出演者がすごい。Pファンクのキーボード「バニーウォーレル」、アンビエントの創始者「ブライアンイーノ」、「エリカバドゥ」、ディスコをディスコにさせた男「ジョルジオモロダー」、宇宙から来たダブマッドサイエンティスト「リースクラッチペリー」…アルファベット順に紹介するだけでも、現代の音楽の主要人物が、全員でているんじゃないか、と思うくらいの豪華さ。

今回は特にマルコムセシルの言葉を紹介します。
Malcolm Cecil (GBR)
「マルコム・セシルはイギリスのジャズ・シーンでその名を馳せたが、シンセサイザーの発展に重要な役割を果たした人物である。」

彼は、簡単に言うとスティビーワンダーの70年代の主要なアルバムにシンセサウンドを持ち込んだプロデューサーです。彼がいなければ、スティービーは現代的なサウンドを持ち得なかったかもしれないともいえる重要人物です。上記の動画は彼のシーンから再生されます。







「われわれは2つの要素をもっている。」

「一方には私たちの思考―知能がある。他方には感情や情緒だ。」
「この両方のバランスを取るのが仕事の半分さ。」

「ただプカプカ浮かんでいるだけじゃだめだ。根を下ろさなくては。」
「根を地面に張ったら、心を浮揚させる。」
「一方には君の感情、他方には知性。」
「それで…まっすぐ立つ。君はまさに現在にいる。」

「君が前に傾くときはスピード違反さ。」
「次の譜面へと心がはやっている。気楽にね。」
「でも気を抜きすぎると…音楽がばらばらに崩れる。たるみ過ぎて。」
最適な場所を見つけろ。

「感情と知性がつりあった…言い換えれば…」
メロディの構成やハーモニー旋律的なことルールに気を配る。」

「そう、それがあるが、でもそれが全てを支配してはいけない。

「感情が知性をやわらげ導く。」
「つまり感情知性を互いに結びつけると、基盤のような堅牢さが生まれる。」


ここで彼がいう知性とは、テンポや、メロディ、ハーモニー、といった音楽を構成する具体的な要素に関する、正確な認識のことをいってます。正確に音楽が何が起きているかを捉えて、それを最適な場所に配置する力を知性と呼んでいます。

そして同時に、全てが知性に支配されてはいけない。感情のとのバランスを取るべきだともいっています。

私は彼の言葉が、音楽に対する、もしくは芸術に対する適切な態度をうまく表していると思います。

私たちは自分の芸術を正確に捉える理性もしくは知性を持つべきだし、同時にそれに支配されずに感情とのバランスを取ることが必要です。

そして音楽の場合、正確に捉える手法の一つとして、音楽理論の中で使われるような「インターバル、スケール、コード」といった概念があります。これらはあくまで、ここで彼がいう理性だといえます。つまり自分の音がどうなっているのかを正確に捉えるための手段であって、決して自分を縛り付けるための鎖ではない。

音楽理論が悪か正義か、というような話題がされることがあります。彼の言葉をふまえるとこの議論が非常に的外れであることがわかります。あくまで問題になるのは、自分の芸術に対する態度であって、音楽理論そのものではないはずです。

また音楽理論について語る、もしくは記述する人間もこのことを十分にふまえる必要があると思います。つまり、あるツールが何らかの創造に寄与しないとしたら、多分それは捨てるべきだということです。

ある規則が何のためにあるのか、ということを十分に理解して人に説明する必要があります。そうでないと、何を学んでいるのかわからなくなります。

理性と感情のバランスを取るためのツールとして音楽理論を学べばきっと、プラスに働くはずです。本書がその手助けになればいいと思います。








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